朝日杯FS検討

2歳牡馬のG1でクラシックを目指す馬はラジオNIKKEI2歳Sに回る馬も多く、単純に一番強い馬を決める意味合いをもつレースというわけでもない。しかし、複勝率で見れば1番人気の信頼はよく、過去10年は1番人気の馬の成績は

(2−3−4−1)

とあまり崩れていない。しかし、3歳以降の成績をみると1番人気で1着になるか2着以下ではかなり異なる。

1番人気で勝利した馬は

01年 アドマイヤドン
09年 ローズキングダム

この2頭は朝日杯で初G1勝利を飾り、3歳以降でもG1を勝利している。

逆に1番人気で2着以下の馬たちで3歳以降G1を勝った馬は

03年 2着 メイショウボーラー

のみとなっている。メイショウボーラーで3歳以降も活躍できたのは中山1600mのフルゲートでは致命的に不利な8枠を克服してのもので勝ち馬とはクビ差。1,3着が1枠の馬だったということを考えれば枠が少しでも内だったら勝てていた可能性が高いことによる。

このように朝日杯で1番人気に支持された馬は1着か2着で今後の活躍の仕方がガラッと変わってくる。

今年の1番人気は枠順によって変わりそうだが、サダムパテックの可能性が高い。この馬の未来は朝日杯の結果により決まってしまう可能性が高い。


過去10年の勝ち馬を見てみる。

00年 メジロベイリー
01年 アドマイヤドン
02年 エイシンチャンプ
03年 コスモサンビーム
04年 マイネルレコルト
05年 フサイチリシャール
06年 ドリームジャーニー
07年 ゴスホークケン
08年 セイウンワンダー
09年 ローズキングダム

これらをグループ分けすると以下のようにできる。

1.社台系
ローズキングダム
ドリームジャーニー
フサイチリシャール
アドマイヤドン

2.外国馬
エイシンチャンプ
ゴスホークケン

3.マイネル、コスモの岡田軍団
コスモサンビーム
マイネルレコルト

4.例外馬
メジロベイリー

5.JRAブリーズアップセール出身
セイウンワンダー

4のメジロベイリーは未勝利戦勝ち上がり直後に勝った馬だが、新馬戦が特殊。勝ち馬はジャングルポケットで、2着が朝日杯で2着、東スポ杯1着のタガノテイオー等、出走馬すべてが勝ち上がるという伝説の新馬戦の先駆けともいえるレース。そして、2着のタガノテイオーは最後の直線で足を骨折。その状態で2着に来たことはかなりの評価ができるが、骨折していなければ勝っていた可能性がある。しかも当時の朝日杯は定量54kgのレースだったことが大きいと思われる。その証拠に翌年から未勝利、新馬戦後直後の馬の3着内はなくなっている。

今回はこのような例はないと考えられるので除外して考える。

まずグループ1の社台に関してはG1では社台の馬が猛威をふるっていることは今までのレースの結果を見れば当然の結果。1番人気でなくても勝ち馬は3歳以降も活躍が期待できる馬たちである。

そして阪神JFでもそうだったが、2歳戦は社台ファームの生産の馬でなく、ノーザンファームの馬が活躍する。

過去10年で阪神JF朝日杯FSでのノーザンファーム社台ファームの馬の成績は

ノーザンファーム
(6−4−5−25)

社台ファーム
(0−5−3−15)

出走数もノーザンファームの方が多く、勝ち馬もノーザンファームからしか出ていない。実際阪神JFでもノーザンファームレーヴディソールが勝ち、社台ファームダンスファンタジアは大敗している。

今回の社台系の馬は

ノーザンファーム
アドマイヤサガス
グランプリボス
リアルインパクト

社台ファーム
リフトザウイングス
リベルタス

・白老F
サダムパテック

社台ファームの馬が1着にくることは考え辛く、社台ならノーザンファーム白老ファームの内から出ると考えられる。

白老ファームからはドリームジャーニーが勝ち馬としてでている。2着もフィフスペトルがいる。

そして社台系の馬が勝つ場合、その馬の父は種牡馬になって浅い馬が多い。阪神JFの時も書いたが、やはり新種牡馬には結果がほしい。とくに社台が推している種牡馬ならなおさらのこと。

過去の社台系の勝ち馬の父は

アドマイヤドン
ティンバーカントリー
種牡馬3年目

フサイチリシャール
クロフネ
種牡馬1年目

ドリームジャーニー
ステイゴールド
種牡馬2年目

ローズキングダム
キングカメハメハ
種牡馬2年目

今回の出走馬の父は
フジキセキ 2頭
サクラバクシンオー 1頭
ディープインパクト 2頭
ハーツクライ 1頭
過去のデータを見ると3年目あたりが目安である。しかし、キングメハメハはアパパネローズキングダムで2歳G1を連勝し、アパパネは3冠、ローズキングダムはダービー、菊花賞で2着、JCで1着と十分評価を上げている。今年はもちろんディープインパクトの評価を上げる必要がある。ここまで重賞勝ちはなく、ここで勝てば評価が上がることは間違いない。ディープインパクト産駒のノーザンファーム生産の馬は

リアルインパクト

1頭のみ。今回リアルインパクトが内枠に入れば勝つ可能性が高いといえる。

次に2の外国馬。エイシンチャンプはマル外表記こそないが、1歳になる前に日本に持ち込まれた馬はマル外表記がされないため外国産馬扱いされていないが、厳密にいえば外国産である。

仕上がりの早い外国産馬が強いことは朝日杯の歴史が物語っており、過去にはグラスワンダーマルゼンスキーエイシンプレストン等の外国産馬が勝っている。

今年の出走馬のなかで外国馬は

シゲルソウサイ

1頭のみ。ダートの実績しかなく、1200mしか使っていない。2走とも圧勝続きであるが、芝未勝利の馬が勝てるほどG1レースは甘くない。


次は3の岡田軍団。外国馬と同じく、仕上がりが早いのでここが社台に勝つ数少ないチャンス。06年には4頭出ししたほどで、ここにかけてくるといっても過言ではない。

今回の出走馬の中で岡田軍団は

マイネルラクリマ

のみ。阪神JFでもマイネルイサベルを出したように今年も2歳G1を取りに来ている。新潟2歳Sでも1,2を決めたように仕上がりの早さは相変わらずである。しかも、前走は賞金的に足りているため叩き台のためのレースであった可能性もある。近2走での前での粘りはかなり驚異的で中山ではフルに活かせそうである。

最後に5のブリーズアップ出身の馬。セイウンワンダーはブリーズアップ出身の初年度の馬であり、結果がほしいのは当然のこと。新潟2歳Sを勝ちG1を意識できる馬が出たことで内枠に配し、勝利へと導いた可能性が高い。